ある程度の基礎体力もついたことだし、今度はペンギン師匠について修行をしてきなさい、と少女リリンに言われ、村外れの修行場へやってきたアラン。
ペンギン師匠、かなりお年を召しているようです。
大丈夫でしょうか。
一抹の不安を抱きながら話しかけるアラン。
どうやら修行にはスライム倒しが適しているようです。
「スライム! それは液体でできた、ねばねばして透明な体をした恐ろしいモンスター! その身を鉾で貫通させるのは岩を卵に当てるほど難しい……いや、卵を岩に当てるほどだったか? 鶏が岩を食べるほど?」
師匠! しっかり!
それだと俺、できそうな気がしません!
「リエン村は寒すぎてスライムが生きていないんじゃ……でも心配しないで下さい!」
師匠なのになんで敬語なの。
「こんな時に備え、事前に必要な 修行用スライム を育てていたので!」
うわぉ。これが本当の本当に、備えあれば憂いなし! なんですね師匠!
俺が封印されてた間、ずっとそうやって育ててたのか! 他のことに情熱を費やせペンギン!
なにこの師匠、超楽しい。
彼が精魂込めて育成したスライムは、俺が敬意をもって倒させていただきました。
大丈夫。彼らの死は無駄にはならない。俺のなかで生き続けるから。(何。
さて次の修行は……?
「メイプルキノコ! 橙色の傘を乗せている、のん気なモンスター……」
簡略な説明ありがとう、師匠。
「でも知っていますか!? メイプルキノコはメイプルワールドを支配するためにあなたが気付かないところで既に手を打っています……」
あいつらにそんな大それた野望がっ?
「……そんな感じでメイプルキノコの手が忍び寄っている村がヘネシス!」
うわぁ、これから新聞記者のプオ師匠と呼ばせていただきます、師匠!(≧△≦)\
「みんなが気付かないうちにメイプルキノコは既に村を占領しています!」
マジですかっ? ていうかどこの村。ヘネシスか! そりゃあ大変だ。
「それに村の代表もメイプルキノコに変わったのを、村の長老さえ気付いてないのです」
爆笑。ごめん、もう耐えられない。なにその大変事。
「今回はこの恐ろしいモンスターの メイプルキノコ30匹 を倒さなくてはなりません!」
そーかそーか、恐ろしいモンスターもいたもんだ(笑)
もちろん、倒させていただきますよ。村を救うためですとも。
すでにキノコに変わってしまった村の代表は助けられませんが、ここは是非ともこの俺の、正義の鉾を振るわせていただきましょう?
「さすが英雄様。勇気がおありで!」
いえいえ、当然のことをするまでです。
「よし! こんな時のために修行用メイプルキノコたちを飼っていました!」
さすが師匠だね。どんな『時』を予想していたのか知らないが、役に立っているよ。
乗っ取られてしまったという村の代表に哀悼の意を表しながらメイプルキノコたちを狩って来ました。
これで俺の英雄譚にも輝かしい功績が刻まれることだろう。
……刻みたくねぇ。
「さぁ、そしたら三番目で最後になる修行を始めます」
師匠のキャラって、結局どんなキャラなんだ。
「今回の修行の対象はなんと……修行用ピグです! ピグ! 彼らについて知っているんですか!?」
え? ええ、まぁ、そんなに熱く握りこぶし作られちゃあ素直に頷けないんですが、知っていますよ。
「彼らは生まれつきの戦士!」
ほう。
「生まれた時から料理に関する無限な怒りをもつ彼らが通ったところには残りの食べ物が全くないそうです! 実に恐るべしことじゃないですか?」
(本気で言うことなのか?)
↑アラン君のツッコミに爆笑しました。
「さあ、行ってください! 行って修行用ピグを好きなように倒してください!」
何その言い回し! 超受けるんですけど!
師匠、大丈夫ですか? と、本気で心配になりました。
そしてピグを全て「好きなように」倒してきましたよ。
「やっぱりこの老いぼれの目は違わなかった」
他の色々な所が違っていたけどな。
「記憶を失われても! 能力を失われても! あなたこそ真の英雄だ!」
いやいや。
「なぜなら鉾を持ったから!」
il||li ○| ̄|_ il||l
そんな理由かよ!!!
「これ以上あなたに教えることはない」
俺も。貴方に教わることはありません。
「あなたは既にこの老いぼれを抜かしたんだ。下山してもいい」
ここって山だったんだ。
「くぅっ。迷うことない」
ええ。迷うことなく下山したい。
「この老いぼれは少しだけでもあなたの師匠だったという事実だけでも満足するから」
脅迫か!!
師匠、恐るべし。
因みにこの後アラン君は「コンボアビリティ」というスキルを思い出すんですが。
「痴呆が心配される老人から受けた修行だから効果があるか心配だったが、本当に効果があった!」
と驚いています。
さりげに酷いですね、アラン。
リリンのところにまで戻れば、彼女も
「ペンギン師匠のプオが大げさな性格で、更に少し痴呆が訪れるのではないか心配していますが……」
とさりげに酷いこと言います。
しかも
「実はプオの修行方式が素晴らしかったということよりは、やっぱりあなたの身体がスキルを記憶しているからだと思いますが……」
と。
師匠! 俺、師匠の弟子ですから! 泣かないで!
と言いたくなった。
ていうかリリンよ……そんなら最初から師匠のもとへ修行に出すな。
さぁて、そろそろ島移動かなーと思っていたら、本当にそうでした。
ここで既にLv13でしたから。
さらば、リエン村。
「強くなるためにはもっと多くのことを学んで、あなたにとって見ず知らずこの世界を学ばないといけません。そうするためにはこの島から去った方がいいと思います。リエン村にいると強くならないですから」
リリン、断言。黒い。黒いよ、リリン。
そんなリリンに見送られ、俺は新たな大陸へと出港するのだった……。
……アランに関わるキャラたちが楽しすぎです。
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